I wanna be your…

 それから出獄してからなほ、内外の上の戦ひ――社会運動の戦ひや、貧乏の上の戦ひをせねばならなかつた。間もなく幸徳事件が起る、私共の生活は呼吸のつまるやうな生活であつた。それから私はある事情のもとに日本を脱出せねばならなくなつた。勿論、一文なしのことであるから、フランスの船に飛び込むで、ベルギーに行つたのである。そして、そこで私は労働生活を始めたのである。先づ行きたては百姓生活も出来ないで、ペンキ屋、つまり壁塗りを一ヶ月ばかりして、其後、室内装飾などをした。その内、機会を得て、英国にカーペンターの清らかなる百姓生活を見廻ることが出来た。さうかうしてゐる中に、ヨーロツパの大戦争が起つたのである。私は黄色人種であるので、七ヶ月間ブラツセルに籠城したが、後、オランダからイギリスに渡り、更にフランスに落ちのびたのである。其処で、以前から知つてゐた、ブラツセルの新大学教授で、無政府主義者ルクリユ氏の一族と共に百姓生活を始めたのである。

 私は文芸としての貴女の詩を批評する資格はありません。また其様な大それた考を持ち合せて居りません。けれども愛読者の一人として私の感激を書かして頂くのです。
 芙美子さん、
 貴女はまだ若いのに隨分深刻な様々な苦労をなされた。けれども貴女の魂は、荒海に転げ落ちても、砂漠に踏み迷つても、何時でも、お母さんから頂いた健やかな姿に蘇へつて来た。長い放浪生活をして来た私は血のにじんでゐる貴女の魂の歴史がしみじみと読める心地が致します。
 貴女の詩には、血の涙が滴つてゐる。反抗の火が燃えてゐる。結氷を割つた様な鋭い冷笑が響いてゐる。然もそれが、虚無に啼く小鳥の声の様に、やるせない哀調をさへ帯びてゐる。

 私は文芸としての貴女の詩を批評する資格はありません。また其様な大それた考を持ち合せて居りません。けれども愛読者の一人として私の感激を書かして頂くのです。
 芙美子さん、
 貴女はまだ若いのに隨分深刻な様々な苦労をなされた。けれども貴女の魂は、荒海に転げ落ちても、砂漠に踏み迷つても、何時でも、お母さんから頂いた健やかな姿に蘇へつて来た。長い放浪生活をして来た私は血のにじんでゐる貴女の魂の歴史がしみじみと読める心地が致します。
 貴女の詩には、血の涙が滴つてゐる。反抗の火が燃えてゐる。結氷を割つた様な鋭い冷笑が響いてゐる。然もそれが、虚無に啼く小鳥の声の様に、やるせない哀調をさへ帯びてゐる。